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植物のはたらきを利用して
「涼しい」を届ける!

ドライミストの設置

富山 翔さん

所属:能美防災株式会社
関連情報URL:https://www.nohmi.co.jp/

能美防災株式会社 富山翔さん

植物のはたらきを利用して「涼しい」を届ける!

能美防災株式会社 富山翔さん

森や林に入って「涼しい」と感じた経験がある人は多いと思います。
これは,植物から大気中に水蒸気が放出される蒸散というはたらきによって,周囲の気温が下がっているためです。ドライミストは,こ蒸散による森の涼しさを都市部で得るためにつくられました。ポンプから送った水をノズル(かみの毛の先ほどの大きさの穴がいくつも開いた,

シャワーのようなもの)からとても細かい粒状(ミスト)にして放出し,大気中で蒸発させることで植物による蒸散のはたらきを人工的に発生させています。これにより周囲の気温を2~3℃ほど下げる効果があります。ミストの粒が大きいと,人の体に当たったときに,ぬれたような感覚になり,不快感につながってしまうため,小さな粒になるよう工夫をしています。このドライミストは,2005年の名古屋万博「愛・地球博」で初めて登場し,それから六本木ヒルズや東京駅などの有名な施設をはじめ,日本全国に設置しています。

「涼しい!」という言葉が,何よりもうれしい

能美防災株式会社 富山翔さん

ドライミストは屋外で使用するものなので,同じような取り付け方をしても,そこの環境によって涼しくなることもあれば,あまり涼しくならないということもありえます。そのため設置する場所に合わせて,ミストを出す量を変えるなどの調整が必要になります。ですので,設置したドライミストを初めて動かすときは,イメージ通りに涼しくなるか毎回ドキドキします。

とある場所でドライミストの取り付け工事が終わり,初めて動かしたとき,そこを通りかかった親子が「涼しいー!」と言って,ミストに近づいて喜んでいた姿を見たときは,とても感動しました。ドライミストの設置には,設置場所の環境を観察する知識や,工具を使って取り付け作業をするなど,多くの専門的な知識や能力が必要になります。そのため,一箇所に設置するだけでも,とても多くのスタッフが必要になりますし,時間もかかるのですが,そこを通る人の「涼しい!」のひと言で,その努力や労力が全て報われるような気がします。

防災の技術をドライミストに活かす!

能美防災株式会社 富山翔さん

能美防災という会社は,名前の通り防災設備を扱う会社です。ドライミストは一見,防災設備とは関わりが無いように見えますが,実は水で火を消すための防災技術が応用されています。例えば,防災設備の中に,スプリンクラーというものがあります。これは火災の発生を自動的に検知して,放水を行う機械です。このスプリンクラーに代表される放水技術は,ドライミス

トの開発に大いに役立っています。また,できるだけ少ない量の水で火を消すための研究も行っています。この研究はドライミストにも活用されているので,駅や公共の施設に設置されているドライミストの多くは,たくさんの水を使わずに,なるべく省エネで動かすことができるようになっています。
私は特に,子どもの頃から科学や機械が好きだったわけではありませんが,防災設備を通して,人の命や財産を守ることができるというところに心をひかれ,この会社に入りました。人々の安全を守り,安心して過ごせるようにすることが,私たちの会社の役割だと思っています。

この仕事を選んだ理由や大切にしていることを教えて!

仕事をする上では,ドライミストを利用する人や,設置する場所などについて,よく「想像する」ということを大切にしています。どこにドライミストを設置したら訪れる人が涼しさを体感できるだろうか,逆に不快に感じてしまうことはないだろうか,見た目にきれいに映るかなど,完成したときの状態を事前にたくさん想像しておくことで,より多くの人に受け入れられるものが完成すると考えています。

小学生のころに好きだったことを教えて!

  • ◆わくわくしたこと:ザリガニ釣り
  • ○得意だったこと:ミニ四駆
  • ★好きだった教科:図工