しっかりと情報を収集して,物事の本質をとらえる
よくお寺と一緒に幼稚園があるのを見かけますよね。ある日,幼稚園の経営者が私のところに相談に来ました。「お寺の土地で幼稚園をやっているが,土地から出て行くように言われている,何とかしてほしい。」という話でした。地代(土地を借りている場合に支払うお金)の支払いはどうなっているのかを聞くと,以前は支払っていたがここ数年は支払っていないとのことでした。私は,地代を払う方向で解決するしかないと判断して,その旨をお伝えしましたが,依頼者は納得されませんでした。後になって分かったのですが,実はお寺の住職さんと幼稚園の理事長(経営者)は,親族関係にあり,お寺の後継者を巡る親族間の問題が争いの根本で,土地の問題はその紛争の一部でしかなかったのです。
私は弁護士になりたてで,争いの根本に目を向けることができず,土地の問題にのみとらわれて,うまく解決できませんでしたが,依頼者の話をよく聞いて,根本となる原因や本質をとらえることができていれば,違った解決の仕方を提案したり,サポートしたりすることができたのかもしれません。争いごとは,単に法律的に見ただけのことではなくて,依頼者の態度や感情などの問題にも目を向けて,寄り添いながら解決に向かう必要があるということを学びました。
たとえ裁判には勝てなくても
裁判はある程度長い期間がかかるので,結論が出るまでの間,依頼者と長いお付き合いをします。依頼者の言い分を聞き,それを裏付ける資料を作成し,裁判所に提出し,結論が出るまで何回か裁判を繰り返すといった活動をしていきます。裁判には勝ち負けがつきものです。
裁判に負けてしまうと,普通,依頼者からは感謝されないものです。
ところが,ある裁判で負けの結論が出た際に,その依頼者から,“結論は自分の思うとおりにならなかったけれども,自分の言いたいことは十分伝えていただいたし,十分な活動をしていただいたことは,とても有難かったです。”とお言葉をいただいたことがあります。これは嬉しかったですね。
この仕事を選んだ理由や大切にしていることを教えて!
この仕事で大切だと思うことは,依頼者との信頼関係をつくることです。そのために私は,依頼者の話が横道にそれたとしても途中でさえぎらずに,すべて聞きとることを心がけています。そして,その話の中からポイントを掴んでいくようにしています。これにはとても時間がかかりますが,信頼関係づくりには大切なことだと考えています。
小学生のころに好きだったことを教えて!
- ◆わくわくしたこと:夏休みに祖母のところへ遊びに行ったこと
- ○得意だったこと: 徒競走(リレーの選手だった)
- ★好きだった教科:社会(特に歴史<戦国時代,幕末等>)