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放送作家 及川浩和さん

及川浩和さん
文字というものは,相手に何かを伝えるための道具
放送作家
及川浩和さん
所属:放送局・番組制作・広告代理店など

SNSで(書き言葉でやりとりする場合)の気をつけ方

「いいよ」という言葉があります。これは“承認のいいよ”と“拒否のいいよ”どちらの意味でもとれてしまう言葉です。「いいよ」という言葉だけでは,相手が間違った意味を受け取ってしまう可能性があるため,そのような場合はぜひ顔文字を利用するとよいと思います。いいよ(^^)・いいよ(-_-;) これでどちらの意味か,正しく伝わる可能性が高くなるのではないでしょうか。あるいは,「いいよ」と一緒にスタンプを利用するとか。文字というものは,相手に何かを伝えるための道具です。ですから送信する前に,一瞬でも相手に「この文字はどう伝わるか?」を送る人が考えるようになれば,自然と言葉が間違った意味で伝わることもなくなるのでないでしょうか。

書き言葉と話し言葉で,気をつけていること

テレビ番組,特にトーク中心のバラエティ番組では,書き言葉は関係ないように感じる人もいるかもしれません。しかし実はバラエティ番組でも,書き言葉は重要です。
例えば,テロップ。出演者の話し言葉をテロップで表示する際には,出演者の言葉をそのままテロップ化するのではなく,「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」などを訂正し,書き言葉として正しい表記にして放送しています。また逆に,テロップでも話し言葉を意識することもあります。テロップで「約50人」と表記する場合,実はナレーションでは「およそ ごじゅうにん」と読みます。これは「やく ごじゅうにん」と読んでしまうと視聴者が「ひゃくごじゅうにん」と聞き間違えてしまう可能性があるからです。台本を書く際には,出演者のコメントは話し言葉で書いていますが,常に正しい日本語を使うことを心がけています。例えば,バラエティ番組のMCのセリフ「まずは最初のコーナーです!」。一見,問題ないセリフに聞こえますが,“まず”と“最初”は同じことを言っているので,日本語としては正しくありません。ちなみに,この場合の“まず”は,“最初のコーナーです”というよりも,話し言葉として語呂がいいので入れてしまっていることが多いと思います。ですが,それでは日本語として正しくありません。そこで私は,語呂もよく文法上も正しくなるように「それでは最初のコーナーです!」などと書くようにしています。
余談ですが,最近小学生たちがYouTuberの動画を見てとても楽しんでいるようです。しかし,彼らの動画に入っているコメントフォローのテロップなどは誤字脱字が非常に多くなっています。それらの動画を見て,子どもたちが間違った日本語を覚えてしまっていないか,とても心配です。

小学校の学びが仕事に生かされていること

漢字が書けないと,とっさに出演者へのカンペも書けません。算数ができないと,生放送やロケなどで残り時間がすぐに計算できません。理科ができないと,歌番組でドライアイスの煙をセットに上手く広げる方法がわかりません。社会ができないと,池上彰さんと仕事をする際に,きちんと打ち合わせをしてもらえません(笑)。などなど,国算理社の基本的な知識がないと,テレビの仕事をするうえで困ることが沢山あります。

仕事をしていて,いちばん感動したこと

ある日,ふと思いついた企画。企画書を作り,局に提出します。そして企画が通り,番組制作が始まります。プロデューサー,ディレクター,AD,放送作家,美術,技術などをはじめ100人近いスタッフが,その番組に携わって連日会議を重ね,いよいよ収録当日がきます。セットが建て込まれたスタジオでは,MCの有名芸人をはじめ多くの芸能人たちが,自分の書いた台本をもとに番組を進行しています。そして完成した番組を多くの人たちが見て,笑顔になっているのです。小さな思いつきが私の頭から飛び出し,様々なジャンルのプロたちの力によって具現化されて,しかも人を楽しませることができる,これ以上の感動と興奮はありません。

この仕事を選んだ理由を教えて!

人を楽しませることが,仕事になっていることです。
また,仕事をするうえで大切にしていることは「神は細部に宿る」という言葉です。

小学生のころに好きだったことを教えて!

◆わくわくしたこと:放課後の基地づくり。
○得意だったこと:友だちに「今日は何して遊ぶ?」と聞かれたときに,率先してその日の遊びを考えること。
★好きだった教科:国語。