スマイル式九九プリント
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算数の計算では、計算の意味を理解することが大切です。また、数の関係を事実として記憶しておくことが必要です。このことは、2年生から学習が始まる九九の計算についてもあてはまります。
2年生の子どもの多くは、九九の結果を記憶することに、それほど大きな苦手を示しません。一方、とても苦手だという子どももいます。このような九九の苦手の背景が、近年、わかってきました。この苦手の背景に対応した2つの支援が反映されたプリントを、NPO法人スマイル・プラネットから提供します。 -
東京学芸大学名誉教授
尚絅学院大学教授
小池敏英
スマイル式九九プリントの考え方について
九九が苦手の2つのパターン認知特性と支援
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パターンⅠ
聞いて覚える力(ワーキングメモリー)の弱さをもつ子どもは、九九のような機械的な記憶学習が苦手です。
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イラストによる支援
イラストを使って正答を引き出しながら学習を行うことが効果的です。
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パターンⅡ
聞いて覚える力があっても、心の中で言葉を反復することが不十分なために、うまく覚えられない場合があります。
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言葉による支援
言葉がうまくなじむように、反復する言葉を整理して学習させます。
利用の仕方
上のどちらのパターンかは、認知の特性でチェックします。パターンⅠに該当するかどうかは、数唱の苦手によって調べることができます。数唱の苦手が認められなかった場合は、パターンⅡと判断して学習をすすめるとよいでしょう。
1. 認知特性のチェック~数唱~

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2・3年生
4桁の数字(無作為)を3回提示します。正答が2回以下であると、苦手を認めます。-
正答が2回以下
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パターンⅠ
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3回とも正答
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パターンⅡ
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4~6年生
5桁の数字(無作為)を3回提示します。正答が1回以下であると、苦手を認めます。-
正答が1回以下
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パターンⅠ
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2回以上正答
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パターンⅡ
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2. 苦手な段チェック
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どの段で苦手を感じるか、チェックしてください。
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3. プリント練習
パターンⅠの子ども向けプリントの利用と支援
聞いて覚えるより、見て覚える方が得意
認知の特性と支援
認知の特性チェックの「数唱」で苦手を認めた場合は、聞いて覚えるより見て覚える方が得意です。この場合、イラストによる支援が効果的です。イラストは、「意味理解」と「答えの促進」に使います。
式とイラストの線結び
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はじめに、右のプリントを行います。ここでのイラストは、「意味理解」のためのものです。
⇒これによって、数式の意味を確認します。 -
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式と答えの線結び
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次に、右のプリントを行います。数を表す硬貨を表示させると、「答えの促進」につながります。
硬貨のイラストは、「あり」と「なし」が選べます。繰り返すことで、イラストがなくても線を結ぶことができるようになります。
硬貨は日常的に子どもたちに馴染み深いので、数を捉えてイメージしやすいのです。 -
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克服確認チェック
安定してできるようになったら「4. 克服確認チェック」で定着を確認しましょう。
パターンⅡの子ども向けプリントの利用と支援
見て覚えるより、聞いて覚える方が得意
認知の特性と支援
認知の特性チェックの「数唱」で苦手を認められなかった場合には、ことばを手がかりに学習をすすめます。
式とイラストの線結び
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はじめに、右のプリントを行います。ここでのイラストは、「意味理解」のためのものです。
⇒これによって、数式の意味を確認します。 -
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ふりがな+薄数字(答え)
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次に、右のプリントを行います。ここでは、答えを書くときに、声を出して読むことが大切です。
⇒数字の上の読みがなを読むように指示します。答えの薄い数字が印刷されているので、容易に答えをかくことができます。できるようになったら、薄い答えのないパターンに進みます。
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克服確認チェック
安定してできるようになったら「4. 克服確認チェック」で定着を確認しましょう。
お楽しみプリント ~九九の準備と保持のために~
楽しんで九九を学べる練習プリント(3種類のお楽しみプリント)
カレンダー
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【内容】カレンダーの数の中から指定の段の答えに◯をつけます。
【効果】九九の規則性をみつけることができます。 -
ビンゴ
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【内容】指定の段の答えに◯をつけ、ビンゴを作ります。
【効果】九九の答えの数に対する数感覚を養えます。 -
ふうせん
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【内容】ふうせんの中の指定の段の答えに◯をつけます。
【効果】九九の答えの数に対する数感覚を養えます。 -
4. 克服確認チェック
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苦手だった段ができるようになったか、チェックしてください。
※「2. 苦手な段チェック」と同一の内容です。 -