教科書中の単語を“読める”ようにする支援の必要性
小学校の1年生のときに漢字の学習に積極的に取り組んでいた子どもの中に、2年生になって、漢字の学習が苦手になる子が出てきます。
ドリルをすぐに放り出してしまう子、教科書などの音読が苦手な子、漢字の小テストが半分もできない子、ノートの文字がぐちゃぐちゃな子…。
教科書の音読が苦手な子どもは、授業に対して消極的になったり、学校の他の活動に対しても消極的になったりしがちです。
その原因には、学習障害(LD)だけではなく、読み書きの発達の偏り、注意力が育っていないことなど、さまざまなことが考えられます。しかし、どんな子どもであっても、適切な支援によって、学習を進めることは可能です。
支援については、現在、いろいろな方法が考えられていますが、その中でも、教科書中の単語を“読める”ようにする支援が必要不可欠ではないかと、私たちは考えました。(ここでいう「単語」には、漢字を含む単語に限らず、ひらがなで構成された単語も含まれます)
pointなぜ、教科書中の単語を”読める”ようにする支援が必要なのか
- ①教科書中の単語の読みに慣れることによって、学校の授業に前向きに取り組むことができます。
- ②読む学習と合わせて「教科書中の単語で文を作る」等の学習を行うことによって、「単語の意味」を理解することができます。意味を理解することは、言葉を使うために必要です。
- ③「漢字単語を読めること」は、「漢字単語を書くこと」の基礎スキルになります。
学習性無力感を生まないために
さまざまな原因で、漢字の読み書きが苦手な子どもに、漢字の反復練習のようなその子どもにとっては成果の出ない努力を無理やり強いた場合、「いくら努力しても対処できない」ということを「学習」してしまい、学習全般に対して無気力になるという結果が生じることがあります。これを心理学では、「学習性無力感」といいます。
人にはそれぞれ、得意なことと不得意なことがあります。大人であれば、経験から、自分が身につけたいものをどのように学習するか、無意識に工夫することができます。しかし、小学生段階では、自分に合った学習方法を探して選ぶことは困難です。したがって、大人からの学習方法のアドバイスが、とても大切です。特に、教材を工夫することによって、学習が進むということを子どもに実感させることは、効果的な支援につながります。
point「学習性無力感」を生まないために
- ●いくら練習しても、その成果が出ないという経験を積むことで、対処できないことを「学習」し、学習全般に対して無気力になることを、「学習性無力感」といいます。
- ●大人からの学習方法のアドバイスが、とても大切です。特に、教材を工夫することによって、学習が進むということを子どもに実感させることは、効果的な支援につながります。
本教材で大切にしたこと
漢字の反復練習が苦手な子どもの場合、その子どもに合った他の学習の手立てを考えることが大切です。本教材は、その手立ての一つとなることを目指して開発しました。
先述の学習性無力感を生まないよう、子どもがチャレンジしようと思える内容を考えました。いくつかのプリントから選択することができるので、子どもの様子を見て、無理のないところからチャレンジさせてください。
また、学校での学習では、教科書に沿って漢字を学習するため、教科書に合った内容にすることも配慮しました。(現在、光村図書出版のみの対応です)
これまで、漢字ドリルで繰り返し練習するしか学習方法がなかった子どもに、プレ漢字プリントが選択肢の一つとなり、学ぶことの楽しさや喜びを感じてもらえることを、心より願っています。
point本教材で大切にしたこと
- ①子どもがあきらめずにチャレンジしようと思える内容にすること。
- ②授業を理解する力につなげるため、教科書の内容に合っていること。
- ③さまざまなプリントを用意することで、子どもに合った学習内容を指導者が選択できること。